蝉フィクション

宝くじ1億円当てた男、砂吹(偽名)。彼に誘われた見ず知らずの4人の共同生活 in London. リアルタイム小説&ガイドブックの折衷案。

第54話「ヴィエリチカ岩塩坑に行く前に知っておきたい素敵な実話」

 

を越える世界遺産リストも最初に
登録されたのはたった12件。その中の
ひとつ、ポーランドヴィエリチカ岩塩
坑。その発見にまつわる隠されたお話。

  

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作家志望、24歳、イギリス14ヶ月目

 

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1044年創業。

 

廃坑になっていない岩塩坑としては世界最古。

 

当時は岩塩の輸入国であったポーランドが、国をあげて地中を掘り進めることになった一大事件。

 

それが「キンガの指輪事件」

 

 

ーーー

 

 

むかしむかし、ハンガリーに、キンガという美しい娘がおりました。

 

そう、ポーランドではありません。

 

キンガは若くして、自分の一生は祈りと慈善活動のためにあると信じていました。

 

なので、ポーランドの王妃にならないか、という話が出た時も、周りの期待をよそに、キンガ自身はまったく気が進みませんでした。

 

 

 

 

一生独身のつもりでいたキンガ。

 

ある日、せっかくもらった婚約指輪を、投げ捨ててしまったのです。

 

ハンガリー王国、マラムレシュ、という岩塩坑の中に放り投げてしまいました。

 

しかし、最終的には政治の力で二人は一緒となり、キンガはポーランドへ移ることになります。

 

 

 

 

信仰心の篤い二人は、結婚後も肉体的な純潔を貫いていました。

 

キンガは王妃になってからも、貧者を訪問したり、ハンセン病患者の世話をしたりしました。

 

彼女がポーランドに嫁いでから10年の歳月が流れた頃。

 

岩塩の小さな採掘所のあるヴィエリチカ村から、ある一通の知らせが届きます。

 

 

 

 

「たいそう立派な指輪が見つかった。これは王室の女性のものではないか」

 

当時のポーランドは岩塩の輸入国で、主な輸入元はハンガリーであった。

 

そのハンガリーから運ばれてきた岩塩は、ヴィエリチカの倉庫に保管されていました。

 

 

 

 

キンガは現地に赴き、目を丸くします。

 

間違いない。

 

自分が10年前、故郷のハンガリーの岩塩坑に投げ捨ててしまった、あの指輪だ。

 

 

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単なる偶然ではありえないと信じたポーランド王は、国のプロジェクトとして本格的にヴィエリチカの地中を掘り進めることにしました。

 

すると果たして、途方もない規模の岩塩床が見つかったのです。

 

当時、同じ重さの岩塩と金には、同じ価値がありました。

 

こうして、1250年に国営化された岩塩坑は、国の事業の柱となりました。

 

 

 

 

一方で特筆すべきは、キンガの夫、つまり王さまが亡くなった後のこと。

 

キンガは所有物をすべて売り払い、貧しい者へ分け与えました。

 

王国の政治からはいっさい身を引き、一人で修道院に入ることを決めます。

 

キンガは観想的な祈りの中で余生を送ったそうです。

そして、かつてはポーランドの王妃であったことを彼女に問うことは、誰にも許さなかったといいます。

 

 

 

 

 ーーー

 

 

この岩塩坑の素晴らしいところは、地下327m、全長3.5kmの観光向けの坑道に、歴史の背景や神話上のモチーフが丁寧に作られていること。

 

上の写真、指輪の確認のシーンも、広末くんが撮った実際のもの。

 

そのすべては、坑夫たちが信仰のために岩塩を彫り上げたものだそうです。

 

 

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入り口。

日本語のガイドはないけど、

インカムを渡されてイヤホンで直接説明を聞けるので

わたしでも意外とよく聞き取れました。

 

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「全部で800段の階段があります。

でもここで良いニュースです。

95%がくだりです」

という、いかにも欧米な切り口のガイドが楽しい。

 

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みんなでぞろぞろと階段を下りたところ。

階段自体は平気だけど、短いスパンの階段をぐるぐるおり続けるので

ちょっと目がまわった。

 

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光沢が美しい。

 

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宇宙の中にいるみいた。

ラビュタのポムじいが、地下で石を割った瞬間を思い出す。

 

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スタッフの説明も丁寧。決して機械的でない。 

 

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坑夫の仕事ぶりが垣間見える。

 

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岩塩採掘史の展示が詳細まで記されている。

 

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ボタンを押すと人形が動く。結構ちゃんと動く。それはもう恐いほどに。

 

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この写真すき。

 

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全長300km、そのわずか1%に満たないところをわたしたちは見ている。

この先は立ち入り禁止。

 

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聖堂も塩。

 

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 シャンデリアさえも塩で作られている。

 

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閉まる頃には、修復のための作業員の姿も。

大切に保たれていることが窺える。

ポーランドの物価を考えればチケットはやや高いけど、

それ以上の感動が確実にあります。

 

キンガの指輪の話は、

ガイドの方もここまで詳細には話してくれないので

訪れる前の予備知識になると嬉しいです。

 

 

 

 

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