蝉フィクション

宝くじ1億円当てた男、砂吹(偽名)。彼に誘われた見ず知らずの4人の共同生活 in London. リアルタイム小説&ガイドブックの折衷案。

第45話「日本とヨーロッパの空のちがい」

 

本の空って青いなと思う。ロン
ドンの空は水色。昔、有名な絵画の空
はなんてお洒落なブルーを作るのだろ
うと思ってたけど、
結構見たまんまだ。

 

  

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作家志望、24歳、イギリス11ヶ月目

 

 

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「おい、朝から食パンなんて齧り付いてる場合か。プロットは進んでるのか」

 

数年前、久米島で撮った日本の写真を見返しながら、食パンとは朝食に頂くものではなかったかと思う。

 

しかし私は言い返さない。

 

何故ならプロットは進んでいなかったからだ。

 

 

 

 

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初対面で、彼氏を紹介してほしいと言ったあの男の子。

 

彼から連絡をもらえたのはよかったのだが、間が悪いことに

今は仕事で日本にいるらしい。

 

まだ若いのに、飛び回って仕事をするなんてすごい。

 

しかしあては外れてしまった。同性愛者の彼から、何かアイデアをもらうはずだったのに。

 

 

 

 

「それで、そいつは何の仕事してるんだ」

 

「テレビ局関係って言ってたけど、詳しくは分からない」

 

「案外、ディレクターとかで使いっ走りにされてる奴の一人だったりしてな。ほら、よくあるだろ。海外の日本人にインタビューしたり、ヘンピなところで原住民に密着して、面白いの撮れるまで帰って来れないやつ」

 

おれは、いつ月曜から夜更かしに出会ってもいいように、常に個人的ニュースを用意している、と自慢げだ。イギリスにいる以上、出会う可能性は絶対にない。

 

 

 

 

たしかに、最近は芸能人をゲストとして使わない、単身ディレクターによる番組構成が人気のようだ。

 

ゲストがいる場合は、スケジュールや撮れ高後進国でのきれいなホテルの確保など、何かと気を遣うことが多い。

 

その点、ディレクターだけだと、気の済むまで取材できる上に、後から編集しやすい、予算がかからないなどの利点があるのだとか。

 

 

 

 

「でもああいうのって、ちょっと個性的なディレクターが多くない? いたって普通の子だったと思うけど」

 

「いたって普通の同性愛者だろ」

 

砂吹が言うと皮肉に聞こえるが、たしかにロンドンに同性愛者なんてごまんといる。

 

「ああ、話が聞きたかったー」私は食べ終えたお皿をどけて、テーブルに突っ伏すように伸びをする。

 

 

 

 

「行くか出張」

 

私はガタンと顔を傾け、砂吹の顔を見る。

 

「行きたいか日本と訊いているんだ」

 

「いいの?」

 

 

 

 

「約束しろ。彼への取材を成功させ、テレビ局と繋がりを持たせる。

帰りまでにプロット候補をたくさん作る。

基本的にはおれの荷物持ちだ

あとは」

 

まだあるのか、と返事を待つ。

 

ハッピーターンを持てるだけ持って帰ってくる」

 

 

 

 

さては、私の作った卵ご飯を食べてから、急に日本食や日本のお菓子が恋しくなったな、と私はにやりとする。

 

とにかく、1年ぶりに日本に帰れることになった。

 

遊びじゃない、仕事のためだ、と私は背筋を伸ばした。

 

そして、食べたいものを片っ端から書き始める。

 

 

 

 

olm-h.hateblo.jp

 

 

 

 

 

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