蝉フィクション

宝くじ1億円当てた男、砂吹(偽名)。彼に誘われた見ず知らずの4人の共同生活 in London. リアルタイム小説&ガイドブックの折衷案。

第15話「London、ブリクストンの美味しいお店と歩き方」

 

ギリスらしいものもいいけれど、た
まには変わったものが食べたい。そんな
人にオススメの町、ブリクストン。多国
籍料理が楽しめる、あとは目が楽しい。

 

 

 

 

olm-h.hateblo.jp

 

 

 

 

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Victria駅からVictria Lineに乗って、私たちはランチを求めてBrixtonにやってきた。

 

ここは、数年前までは治安が悪いとされていたエリアだが、今ではお洒落な町として有名になってきている。家賃なども急騰しているらしい。

 

アメリカでいうブルックリンだ、と砂吹は言った。

 

何でもアメリカで喩えると嫌われるよ、と言ったら、アメリカに好かれていれば恐いものはない、という謎の答えが返ってきた。

 

 

 

 

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「三井、腹ぺこだ。最初に目に入った店に入って最初に見たメニューを食う」

 

「お願いだからマックとかケンタッキーとか見ないでよね、せっかくここまで来たんだから」

 

改札を出た私たちは、右に曲がり、次を角をまたすぐに曲がると、不思議な多国籍なレストランが集まる通りに辿り着いた。

 

 

 

 

砂吹はその通りに入ってすぐ右にあるレストランの看板を指さした。

 

「ここでいい、ここにしよう」

 

本当に最初に見たレストランで決めた。

 

 

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お店の名前は読めないが、どうやらコロンビア料理のお店らしい。

 

メニューを薄目で見ている砂吹。

 

「それルール違反でしょ。最初に見たもの頼みなよ」

 

「まだ何も見てない。いま最初に見るものを決めている」

 

男らしくない奴だ。

 

 

 

私は魚料理を注文した。

 

平たい揚げ物はバナナのようだ。パリパリして、バナナチップスのようで美味しい。 

 

ライスはバターで炒めてあり、甘くて、好きな味だ。

 

砂吹がなんだこの泥水はと言ったレモネードも、ちゃんと美味しい。

 

 

 

 

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私はそれとなく、広末さんの第一印象について訊いてみようと思った。

 

「ねえ、砂吹はさ、初めて人と会う時に、第一印象みたいの、気にしてる?」

 

「考えたこともない」目の前のステーキから目を離すこともなく言った。

 

as soon as「〜するや否や」というフレーズは、どういうシチュエーションで使うのかとバカにして覚えていたが、砂吹は、運ばれてきた料理の皿を店員が机に置くや否や、ステーキに齧り付いていた。そういうわけで、写真がない。

 

 

 

 

「でも、第一印象って大事じゃない。もし一目惚れした人と話せるチャンスがあったら、良く思われたいでしょ」

 

「その際、できることなんて二つに一つだ。一、身の丈に合わないキャラクターを演じる。この場合、もしうまくいって結婚することになったら、一生それを演じ続けるんだぞ。二、自然体で接する。パズルのピースがぴったり合うように、良い人が見つかるかもしれない。お互い、楽だろうな」

 

「そう言われると、後者の方が圧倒的に良い気がしてくるけど」

 

「おれはそうは思わない」

 

 

 

 

砂吹は、いつも会話をどこに持って行きたいのか分からない話し方をする。

 

ようするに、めんどくさい。同調したこちらがバカを見る。

 

「今回の場合は一目惚れした相手だろ。何としても付き合いたい。だったらおれは、どんな役を演じてでも一緒にいたい」

 

「どんな役でもって、たとえば?」

 

「求められるもの全部だよ。誠実な人、紳士、おもしろい人、なんでもだ。たとえば、おれは犬や猫は好きでもないし嫌いでもない。面倒だから飼ったことはない。だが好きになった人が動物が大好きで、実家が動物園みたいだったとする。おれはその好きな人のためだったら、動物くらい好きになれる」

 

「それって、どうなの。相手からしたら、運命だと思ったものが人工的だったといつか気が付いたら」

 

「甘っちょろいこと言ってんじゃねえ、蒙古斑。もちろんわざわざそんなことを本人に伝えるような野暮はしない。運命なんてものはない。だから作るんだ。おれは本当に一目惚れしたら、食パン加えて街角で自らぶつかっていくくらいのことは平気でする」

 

蒙古斑なんてないよ」

 

 

 

 

しかしその話を聞いて、広末さんのスカートの魔法のことを思い出した。

 

ひとつだけ願いが叶うとしたら、どんな魔法を使えるようになりたいか。

 

他人のスカートが勝手にめくれる魔法。

 

私は異常性のように感じてしまったが、一途な恋だと砂吹は言っているわけだ。

 

 

 

 

「世の中のサラリーマンの多くが、女房に頭が上がらない、みたいに言われて笑われている。果たして本当にそうなのか。みんな、演じているだけなんじゃないか。頭が上がらない亭主を。それはなぜか。その方が万事、うまくゆくことを知っているからだ」

 

 

 

 

 「おまえの幼稚なアニメ脳のために、どこでもドアの仕組みを教えてやる。これを元に、来週短編を書いてみろ」

 

おかしなことを言ったと思ったら、砂吹は自分だけ食べ終えると、勝手に勘定を済ませた。

 

 

 

 

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少し散歩してみたが、目がおもしろい街だ。

 

名誉のために言っておくが、いかにもフリー素材でありそうなトップの画像も含め、全部私が撮っている。

 

カメラマンの広末さんが加わったら、きっともう少しマシになるだろう。